【特集】知って学ぼう!習志野分屯基地(後編)
機動展開訓練の前半が終了しペトリオットミサイルは無事に発射態勢まで移行。 実戦さながらの訓練で現場も緊張に包まれていたのですが、「お疲れ様です!よろしかったらどうぞ!」とハリのある声で笑顔も眩しい若い隊員さんが差し入れを持ってきてくださいました。 気づけば炎天下で服も下着も汗でぐっしょり。空自高射隊の事を全然知らなかった、知ってよかった、ジュースおいしいし笑顔が素敵・・・色々な感情が錯綜しつつ、訓練はいよいよミサイルのリロードへ!
超貴重! ペトリオットミサイルのリロード訓練に密着!
ペトリオットおよびPAC-3ミサイルは1発〜4発のミサイルを運用する所までは航空祭での地上展示などで視覚的に認識していましたが、「全弾撃ち終わった後で何を行うか」までは想定の範囲外でした。 「撃ち終わり!」と無線連絡し役目を果たすのかな?とも思っておりましたが、部隊のかたからは非常にシンプルな解答がいただけました。
「全弾撃ち終わりましたらリロード(再装填)し、また撃てる態勢を整えます。」
よく考えればあたりまえの事ですが、巨大な地対空誘導弾ミサイルシステムのリロード!? 小銃は撃ち終わったらマガジンを替えればまた撃てる体制を整えられますが、最大級に大きな迎撃ミサイルシステムの「弾を交換する」など考えた事もなく、また報道公開するケースも非常に珍しいとのこと。 非常に珍しい光景となりますので、是非最後までご覧ください。
本邦初公開!?巨大クレーンを使用したミサイルの装填!!
陸上自衛隊での弾装填や弾の運搬といえば特科車両やMLRSの後ろを走る「87式砲側弾薬車」などが訓練展示で見ることができます。 MLRSの射程は150km程度といわれており、映画「シン・ゴジラ」でも御殿場から武蔵小杉の怪獣に対し射撃を行っています。 しかしこちらの航空自衛隊高射部隊が扱うのは高高度を超音速で飛来する弾道ミサイルへの迎撃用ミサイルシステムという事もあり、弾1発で全長が数メートルに及ぶ小型ロケットのような物で、その飛距離も桁違い。 発射筒の重量も含めると「t(トン)」である事がクレーンの吊荷表記からもわかります。 参考までに乗用車1台は通常1500kg前後とすると・・・その重さが想像できます
自衛隊は言うまでもなく実戦を想定した部隊/組織であり、たとえ巨大な危険物を巨大なクレーンで扱う場合も「ゆっくりと」「ミスなく」「やりなおし」は許されない世界。現場の雰囲気も先程のトラックの展開とは打って変わり、現場は声を張り上げながらのコミュニケーションが主体となり敏速なリロード作業が行われる。システムを射撃態勢に展開するよりも状況に応じた臨機応変さや環境変化に逐次対応する必要が生じる作業である事が考えられ、吊るした発射筒が風に煽られる事もある中で隊員らが声を出しあい、ハンドサインや言葉を使いセンチ単位の作業をわずか数回の調整で完了させていきます。 いとも簡単に行っているように見えましたが、工事現場で扱う建材とは段違いに危険で重い積載物であるため、容易くこれができるのも職人的な練度あってこそではないだろうか。
安全と効率を優先しマニュアル化されたリロード作業とはいえ、始まりと終わりは人の目、人の手による作業が行われる。確認、確認が続くがとにかく早い!
撃ち終わった4発の発射筒の積み降ろし、そして新たな4発のリロードが完了。 目標に合わせた発射角度をとったところで、陸自で言うところの「状況終わり!」が訪れた。 写真は訓練終了直後で発射機の周囲に人が滞留しているが、いざ実際にミサイル発射となると爆風が生じる為、隊員らは離れた場所から遠隔操作を行い発射を行うことになる。訓練指揮官の徹底した監視・管理の元で隊員らの訓練を受ける。
発射機を背に集合してくださったミサイルマスターの皆さん
取材をさせていただいたのはこちら側だったのですが、取材を歓迎していただいている気持ちが全員の顔から伝わって来る。ゼエゼエと息があがるまで訓練を行った直後の皆さんにお集まりいただいた。
日々繰り返し鍛錬を行い首都圏を万が一から守る人々がいる。その姿を捉えられ、こうしてネットを介して皆さんにお伝えできた事に心から感謝したい。
つづいて、「1高隊」初の女性幹部 恩田3尉へのロングインタビュー!→
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