【特集】知って学ぼう!習志野分屯基地(後編)

創隊55周年を迎えた第1高射群の魅力に迫る!大反響の前編に続き、いよいよ後編へ!超貴重!ペトリオットミサイルのリロード訓練に密着!

特集も後半へ! 取材の目はペトリオットミサイルシステム機動展開訓練に!

立っているだけで汗が顔を伝ってくるような猛暑の中、習志野分屯基地でのペトリオットシステム機動展開訓練の取材は続きました。 基地に面した長い直線道路で部隊の方とその到着を待ちます。 携帯電話を見て時間を潰そうにも炎天下の日差しで画面が暗く見えません。 両脇に抱えた機材のバッテリー残量やレンズの焦点距離を何度も確認し、短い時間が大変長く感じたのを覚えています。 暑さと緊張で30分経ったかと時計を見てもまだ10分しか経過していないような錯覚に陥った頃、後方で確認を行っていた隊員が声を発しました。

「来ました!!」

 

目前に現れた「地対空誘導弾システム」の全貌!

 

 

 

 

自衛隊では市販のトラックをベースに配備された車両が多く使われています。見た目こそ普通のトラックですが、民間車両との一番大きな違いはやはり塗装色です。この塗装だけでも状況下における視認は想像するよりも困難で、日中のアスファルト上でも車両の影と一体化し、何が何を積載しこちらに向かって来ているかを瞬時に判断するのも容易ではなく迷彩塗装は想像以上に高い効果を発揮します。

光を反射しない車両5台が「敏速に」「同速度で」「一斉に」移動を行うためか、通常の大型トラックを眺める感覚でいると一瞬で5台のシステムは通過。 一瞬で過ぎ去った感覚を受けたのは決して速度を上げているからという訳ではなく、「火」印のついた危険な積載物を扱う運転技術や、重量物(この場合はミサイル)を搭載した状態で「無理なく走る・止まる・曲がる」を前提に採用されたヘビーデューティーな車両の作りからかもしれません。 今回は訓練という事もあり積載物が軽かったのか、もしかすると実弾を積載した際はまた少し違う印象を受けるのかもしれませんが非常にスムーズに滑るように重要なシステムを積載した5台のトラックはやってきました。

ミサイルシステム現地到着! 瞬く間に発射可能な体制へ移行!

「始まります。」

今回の訓練の概要をご説明いただいた隊員さんが冷静な口調でつぶやいたのと同じタイミングで各車両の搭乗員が一斉に降車し、ミサイルを発射可能な態勢へと転換をはじめ、緊迫した空気が流れはじめました。 風と土埃に吹きさらされる自衛隊らしい風景と「空自迷彩」のギャップ。 地上で汗と埃にまみれる航空自衛官の姿に、自分の脳も「こんな光景は見た記憶が無い」と同調して来ます。5台のトラックはわずかな時間わずかな人数による作業で、管制室、発射機、レーダー、アンテナ、電源車の5台のシステムを離れた位置に展開し、1つの小さな基地のようなシステムへと転換させました。 大きな声を張り上げ確認しあう事もなく、「誰がいつ何をするか」をお互いが知っているような手順で取り掛かっているような効率を重視した運用思想が見ているだけで伝わって来ます。

この光景に一番近い「何か」を観たことがある気がする・・・とても人間味を感じる訓練風景だったと記憶の片隅に思い出す「これと似た何か」を思い出しながらシャッターを切りました。 その「何か」は筆者が最も愛着を持っている被写体でもある、陸上自衛隊の榴弾砲:FH-70の展開要領だと思い出したのは、取材が終わり写真の整理を行っている最中でした。

 

 

 

展開に要した具体的な時間は記載する事は出来ないものの、5台のトラックと積載物、それに関わる人員の数を考慮しても脅威的な速さで「首都防衛の砦」であるミサイルシステムは発射可能な態勢へ。

1高隊広報さんがおっしゃるには、これが「練度」との事。 訓練を繰り返し、より安全かつ敏速に同じ事ができるように繰り返す「努力」が授ける「職人ワザ」なのかもしれません。 「弾職人」という単語を部隊のキャッチコピーに採用されている所以を感じたのはもちろん、「こんな地上部隊が航空自衛隊に存在したのか!」という驚きもあり、幾度となく「凄い!」という単語を発したのち、興奮さめやらぬ状態で部隊にコメントを頂戴してみました。

「我々の任務の中で同じ事を繰り返す事で技量や即応性を維持し、一人ひとりが自分の範囲の事のみを任されて覚えるのではなく、全員の技量を上げていく事が部隊全体の練度向上に繋がっています。 こういった練度の向上はいつ何が来ても必ず当ててみせるという自信へと繋がっています。」

準備だけ早くても仕方ないという意見を持つかたもいらっしゃるのが辛口な「あるある」でもあるため補足をいれさせて頂くとすれば、空自高射隊は創隊以来米国での訓練成績を塗り替えてきた歴史を持ち、また米国演習場での実戦さながらの実弾射撃訓練においても「突如飛来する脅威を確実に仕留める」事に成功をしてきている部隊だ。そういう部隊であるからこそ都市部の防衛を任され、またその重責を背負うが為に自らの刀を研ぎ澄まし続ける「弾職人」なのだと理解を深める事ができました。

 

つづいて、本邦初公開!?
ペトリオットミサイルの「リロード」の様子を大公開!→

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